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建物の貸付けを使用貸借と認定した課税処分を容認

 東京地裁民事38部(菅野博之裁判長)は、平成17年7月8日、「個人(原告)と同族会社との店舗の賃貸借契約は、真正な賃貸借契約の合意ということはできず、原告が対価を得ることを目的としない使用貸借契約に基づき同族会社に使用させていたものにすぎない。」などと判示して、課税庁(税務署長)が行った「不動産所得の金額の計算上、当該店舗に係る収入金額及び必要経費を算入されないとする」更正処分等を適法とする判決を言渡した。

事案の概要

 本件では、建物(「本件店舗」)を所有する原告が、原告を取締役・原告の長男を代表取締役とする同族会社A社に本件店舗を貸付け、A社は、本件店舗を使用して、会員制フィットネスクラブを営業していた。

本件店舗に関する賃貸借契約書(「本件契約書」)が示されたが、契約書上の内容と実態にはかなりの齟齬があった。 本件では、係争年分以降の所得税の青色承認取消処分並びに更正処分及び過少申告加算税賦課決定が行われており、原告はこれらの処分の取消しを求めている。

賃貸借か?使用貸借か?

 原告は、「本件賃貸借契約が平成2年当時から存在し、その後の賃料額の減額についても合理性がある。」・「原告とA社には、その後のいずれかの時点で賃貸借契約を使用貸借に変更するという意思はなく、その旨の合意も存在しない。」と主張しているが、被告は、本件契約書の作成経緯の不合理性、内容の不自然性等を指摘し、「本件店舗に関する貸借関係は、その使用開始の当初から賃貸借契約ではなく、使用貸借契約にすぎなかったというべきであり、仮に、当初は賃貸借契約であったとしても、遅くとも、賃料が9か月間零円とされた平成9年以降は、契約の有償性は失われ、使用貸借であったというべきである。」と反論した。

「対価性は認められない」と判示

 菅野裁判長は、「仮に原告の主張する『実際の申告額』欄記載の金額をA社から原告に支払う旨の合意が当事者間に存在していたとしても、少なくとも、本件の係争年度である平成9年から平成11年までについて見ると、賃料収入の金額は、必要経費の金額と比較すると、固定資産税等の額にもはるかに満たない、わずかなものにすぎない。したがって、対価性が全くないので、このような合意の存在をもって、賃貸借契約と認めることはできない。」と判示した。

 さらに、「使用貸借であれば、本件店舗に係る収入金額・必要経費は、不動産所得の金額の計算上、収入金額・必要経費には算入されないというべきである。」と判示して、更正処分を容認した。

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